犬の白内障の治療方法

ある日、突然犬が散歩に行くことを嫌がったり、物のよくぶつかるようになったら、飼い主はどうしたのだろうと心配になると思います。

そして目をよく見てみると、ぼやっと白っぽくなっているのを発見し、白内障では?と病院に駆けつけることになります。

犬は白内障になっても、自分からそれを飼い主に伝えることができませんので、飼い主が気づいてあげるしかありません。

しかし、気づいたときには、かなり進行してしまっていることが多く、それゆえ、残された治療法の選択も少なくなってしまいます。

とは言うものの、もともと犬の白内障の治療法というのは、大きくわけて、目薬による治療と、外科的手術による治療の二つしかありません。

目薬による治療は、カタリン・カリーユニ目薬等のピノレキシン製剤や、タチオン・ノイチオン目薬等のグルタチオン製剤などを用いて、白内障の進行を遅くさせますが、すでにある程度進行していれば、残された手段は手術をするか、しないかという選択になります。

手術は、まず白く濁った水晶体を超音波で砕き、それを吸い取って取り除きます。

水晶体を取り除いたら、今度は代わりに眼内レンズを入れてやります。

犬用の眼内レンズも最近は良いものが出ているようで、人間に比べると手術の成功率は低いですが、それでも90%程度は治るようです。

ただ、白内障の手術が高額なのと、術後のケア(目薬をさす)が大変なので、それをきちんとクリアできなければ、手術を受けさせないという動物病院もあるようです。

すべての動物病院で白内障の手術を行うことができるというわけではないので、良い動物病院を探さなければならないのも、大きなネックとなります。

犬の白内障の理由

ネット上で犬の病気に関する質問を見ていると、白内障で悩んでいるケースを時々目にします。

手術をうけさせるべきかどうかとか、どの動物病院が有名かとか、あるいは、手術代はいくらくらいかかるのかなど、いろいろな質問が飛び交っています。

しかし、そのような質問を眺めているうちに気がつかされたのは、老化現象のひとつとして捉えていた白内障に対し、生後まもないのに白内障にかかっている犬がけっこういるということでした。

そこで、調べてみると、確かに犬の白内障は、若年性、あるいは先天性の白内障が人間に比べてかなり起こりうるということでした。

これらの白内障は遺伝的な原因が強いので、犬は白内障の遺伝因子をかなりの割合で引き継いでしまうのでしょう。

さらに、そのような遺伝的に白内障にかかりやすい犬種もわかっていて、それゆえ、そのような犬をペットとしてむやみに繁殖させることに警鐘をならしている専門家もいます。

遺伝的に白内障になってしまう場合は、母親の胎内にいるときから白内障にかかってしまうケースもあれば、生後半年~2年くらいして突然に白内障を発症する場合もあります。

これは防ぐことが難しく、また手術をしても、完治させることが難しいと言われます。

犬が白内障になる原因

犬も人間と同様に白内障になります。また犬の白内障の原因も人間の場合と似ています。

しかし、人間は加齢性白内障がほとんどであるのに対し、犬は加齢以外で起こる白内障の割合も多いようです。

犬の白内障の原因は大きく分けると三つあります。

一つ目は、胎生期に何らかの原因で水晶体がきれいに生成されず、濁ったままで生まれてきてしまう場合です。

これを先天性白内障と言います。

先天性白内障は一種の奇形で、原因として考えられるのは、遺伝です。また母体の代謝疾患、母体の栄養障害、子宮内感染なども原因として考えられます。

二つ目は、生後6ヵ月から2歳半ぐらいまでに症状が現れるもので、これを若年性白内障と言います。

これも遺伝的なものが主な原因と言われています。

この若年性白内障で興味深いのは、急激な生活環境の変化も原因となっているということです。

よく例としてあげられるのが、シベリアン・ハスキーです。

ご存知の通り、シベリアン・ハスキーは極寒の地シベリアで生きている犬です。

日光のほとんどささない世界で生き、食べ物もトナカイの肉をひとかたまりと粗食で、激しい労働をさせられながら人間とともに長く生きてきました。

それが日本のように暖かで、紫外線が降り注ぎ、栄養過多な食事を与えられるペットして飼われるようになったのですから、生活環境の変化はあまりにも急激なものでした。

この急激な環境の変化に体がついていけなかったものが、水晶体の代謝作用に異常をきたし、それが原因で白内障となってしまったとする説です。

三つ目は老年性白内障と呼ばれるものです。

つまり眼の老化です。人間と同様に、加齢が原因としては白内障になるケースも多くあります。

老年性白内障は、7,8歳、早いもので5歳過ぎころから症状が見られるようになります。

老化現象というのは、活性酸素が異常に働き、酸化作用が起こることが原因とされていますが、眼の水晶体の中でも酸化が起きてしまうようです。

これが白内障の原因のひとつとされています。

本来、活性酸素を抑える物質、カルノシンという物質が体内で作られ、細胞が老化していくのを守っています。

しかし、加齢により、このカルノシンの生成が減少してしまうのです。

犬の眼の特徴

犬の眼は、いったいどのように見えているのだろうかと考えたことはないでしょうか。

犬を飼っている人なら、犬の眼は人間と同じように見えているのだろうと思っているのではないかと思います。

しかし、嗅覚や聴覚が人間のそれとは全然違うように、眼も随分と違うようなんです。

臭覚や聴覚が人間に比べて優れているのに対し、視力は必ずしもそうではないようです。

たとえば、動体視力のような、動いている物を捕らえる力は人間より優れています。

また、見える視野も広く、人間の視野が約180度程度であるのに対し、犬の視野は250度~290度近くもあるようです。

また、犬は瞳孔を大きく開いて光を多く取り込むことができ、光を感知する器官も人間の7~8倍もあるために、暗いところでも物がよく見えます。

ところが、これに対し、色の識別などは人間よりはるかに劣っています。

色彩を感知する錐体という器官が人間の10分の一しかなく、犬が見分けられる色はとても限られているのです。

ですから、人間が見ている景色とは違う景色を見ていることになります。

具体的には、青とか黄色、紫はわかるようですが、赤などはわからないようです。

それから、多くの犬は遠くがあまり見えないようです。

人間の視力でいうと、0,2~0,3程度だとも言われます。その理由は、水晶体が人間の倍の厚さがあり、そのためにピントを合わせる能力が弱いと考えられるからです。

ただ、猟犬などは遠くも見えるようなので、犬種によって視力に違いがあるようです。

余談になりますが、犬には人間にはない第三のまぶたと呼ばれるものがあります。

これは瞬膜と呼ばれるもので、眼にはいった異物を取り除く働きをします。

のように手でこすったり、洗い流したりできませんので、こういう器官が備わっているのでしょう。